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スプリング

スプリング

サスペンションを構成する部品として最も重要というか、有名なのは「スプリング」ではないでしょうか?

「ダウンサス」「サス」などと通称で呼ばれているのはサスペンションスプリングのようです。

現在の乗用車で一般的なサスペンションスプリングはコイルスプリングと呼ばれるものです。これはバネ鋼と呼ばれる金属の棒をらせん状に巻いた物です。

バネ鋼は、鉄にシリコンやマンガン等を添加した合金で、力が加わり弾性変形し戻る力が強い素材になります。硬いと割れやすくなるので、弾性限界、疲労限界が高いのが特徴です。繰り返し変形しても折れたりしないような素材なのです。

サスペンションは路面からの衝撃緩和という役割が求められています。

路面からの衝撃を緩和しないままにすると、ドライバーに直接振動が伝わり、運転が不快になります。速度を上げると振動、衝撃はより大きくなり、運転できなくなってしまいます。

スプリングの硬さの表し方は、例えば1mm縮めるのに1kgの重りが必要なら1kg/mmです。このスプリングを2mm縮めるなら2kgの重りが必要という事ですね。

以前はkg/mm、1mm縮めるのに必要な荷重(kg)で表されていましたが、今はISO、国際標準規格という事で、N/mm 1mm縮めるのに必要な荷重(N=ニュートン)で表されます・・・って、わかりにくいですよね。

1kg=9.8Nですので、以前のkg/mm表記は9.8倍するとN/mmに変換できます。

はい、ココで質問です。

とあるスプリングがあります。バネレートは10N/mmです。これを半分に切りました。この半分になったスプリングのバネレート(硬さ)はどうなったでしょう?

@変わらず10N/mm
A半分の5N/mm
B倍の20N/mm

答えはBです。

え〜〜〜〜っ!!という声が聞こえてきそうです。

ここでバネレートについて解説してみます。

スプリングの硬さ=バネレートは素材の硬さと巻き線の太さ(線径)によって変わりますが、巻いた数によっても変わります。

素材、線径が同じなら、巻き数の多いスプリングと巻き数の少ないスプリングでは、どちらが硬いでしょうか?

・・・たくさん巻いてある方が荷重を受ける部分が多そうだから・・・?

このコイルスプリングの場合、このままでは分かりにくいですが、実は巻いてあるのを伸ばすと理解しやすいでしょうか?

短い棒と長い棒、どちらが変形しやすいか?

答えは長い方が変形しやすい、つまりコイルスプリングは巻き数が多い方が柔らかいという訳なんです。

一般的なコイルスプリングは右の図ようにバネレートkは寸法から計算できます。Gは材料の弾性係数です。

巻き数=nと巻き径=Dが分子にありますので、巻き数が減るという事で、バネレートが上がってしまう事がわかりますね。

ローダウンする時には標準より短いスプリングを使いますが、標準と素材、線径等が同じなら、自動的にバネレートは高くなる=硬くなるんですね。

硬いスプリングと柔らかいスプリング、どちらが良いでしょう?って、抽象的過ぎますね。

乗り心地を良くしたいなら柔らかいスプリングを使います。が、高速走行などではふわふわして落ち着きません。じゃぁと硬いスプリングにすると乗り心地が悪くなるし・・・

ゆっくり走る、市街地走行などではスプリングは柔らかい方が乗り心地が良くてうれしいですよね。高速走行などではスプリングはそこそこ硬くなったほうが安定性も増しますし、レスポンスなどの操縦性も良いですよね。

じゃ、普段は柔らかく、高速走行などの時は硬くなるスプリングがあればいいんだっ!・・・「って、そんなに都合のいいもん無いだろっ!」

いえいえ、ちゃ〜〜んとあるんですよ。

「でも、手を出せないほどの高級車が採用してるんでしょ?そんなの買えないしっ!」

いえいえ、乗用車の大半が標準として採用していますよ。

「え〜〜っ!」

状況によって硬さの変わるスプリング。ちゃんとあるんですよ。

まずは通常のスプリング。

スプリングを縮めるのにどれだけの荷重が必要かをグラフにすると、スプリングの縮む量と荷重が比例関係にあるのが分かります。この手のスタンダードなスプリングを直巻きスプリングなどと呼びます。

さて、状況によって硬さが変わる・・・というのは、サスペンションの縮む量とスピードに関係付ける事ができます。

低速走行時は、サスペンションの動く量は少なめで、動くスピードもゆっくりです。反面、高速走行時はサスペンションの動く量は大きくなり、動くスピードも速くなります。

そこで、スプリングの縮み始めが柔らかく、縮む量が一定を超えると硬くなるようなバネレートにできると良いわけです。

スタンダードな直巻きスプリングは縮み量と荷重は比例関係=線形でしたが、比例関係にならない=非線形のバネレートのスプリングを用意できれば良い訳です。

非線形バネレート=プログレッシブレートのスプリングを作るには、様々な手法があります。

まずは不等ピッチスプリングで、スプリングの巻き間隔を一定にしないスプリングです。

コイルスプリングは巻き数が多いほど柔らかい=ピッチが細かいほど柔らかくなる事を利用した訳です。

同様に、巻き径が大きいほど長くなる=柔らかくなる事を利用したスプリングです。

図の右側はたる型スプリング、この真ん中の膨らんでいる形状が逆転したつづみ型スプリングというのもあります。

最後に線径が変化するテーパーコイルスプリングは巻き線自体が細くなる=柔らかくなる事を利用しています。

巻きはじめを細く、中間太く、最後にまた細くなど、結構凝った事してたりします。

純正のサスペンションスプリングを見た事はありますか?

実は純正の乗用車用のスプリングって、普通に不等ピッチ、不等巻き径、テーパーコイルのスプリングを使っています。

乗り心地と安定性の両立を目指しているんですね。結構がんばって作っているんですよ。

ちなみに・・・実用上、路面からの入力に応じてスプリングが一様に変形するという事ではないようです。

走行中の路面からの入力は衝撃的なので、一部、つまり端部に局所的な変形が起こり、伝播する事になります。

この為、同じバネレートなら巻き数が多い方が伝播に時間がかかる=衝撃が伝わりにくくなり乗り心地が良くなるようです。

スタンダードの直巻きスプリングって・・・車高調でよく採用されてますよね。

低速領域、高速領域のいずれかにターゲットを絞って最適化するのが、最も効率的なセッティングになりますが、メーカーの腕の見せどころともいえますね。

針金・・・鋼材をただ巻いただけにも見えるコイルスプリング。こんな部品にも様々なノウハウが詰め込まれていたんですね。意外に(失礼!)純正スプリングが優秀である事は理解していただけましたでしょうか?